― 世紀の対決! ―
魔導士 V.S. 陰陽師
パンパカパ〜〜ン♪ (派手な効果音と共に、舞台中央にスポットライトが当たる) 大: 「皆様こんにちは! 今日は、『一万ヒット記念 世紀の対決!』にお越しいただき、ありがとうございます。司会の大神一郎です!」 (大神君を知らない方のために補足説明。 大神一郎。サクラ大戦の主人公である。帝国華撃団花組隊長として個性派ぞろいの花組の面々をまとめるべく、日々奮闘中。今日は、上官である米田中将からの命令で、当企画の司会をしています) 大: 「さて、それでは早速本日のメインイベント『魔導士v.s.陰陽師』を始めたいと思います! いや〜、しかし、怖い組み合わせですねえ。企画終了後この会場は無事に残っているのでしょうか。では、出場者の方の入場です!」 (舞台の上手と下手にスポットライトが当たる) 大: 「まず上手をご覧下さい。アルバレア一の寡黙男、歩く無表情カイン=ゴートランド氏です!」 (上手から、カインがものすごく不機嫌そうな表情で出てきて、舞台中央の大神をにらみつけた) カ: 「誰が、”歩く無表情”だ」 大: 「(慌てて、一歩引きながら)…え、だ、だって…。台本にそう書いてあるんですっ」 カ: 「(腕組みをしながら)……まあいい。こんなものの司会など、貴殿もつまらぬ命令を受けたものだな」 大: 「ははは……(苦笑い)」 (大神、気を取り直すように咳払いして) 大: 「で、ではっ。もう一方をご紹介しましょう。二十一歳と言うオフィシャル設定はどこ吹く風。驚異の二歳児! ある意味遙か一の詐欺師、安倍泰明氏です!」 (下手から、泰明が淡々とした表情で歩いてきて、大神を見る) 泰: 「二歳児とはなんだ?」 大: 「(慌てて)…え、ええと、ですね……。(マズい、また怒られる!?)」 カ: 「二歳児とは、二歳の子供のことだ」 泰: 「子供? 私は子供ではないぞ」 カ: 「確かに、二十歳前後に見えるな」 大: 「…あ、はあ、そうですよね。まあ、ともかく先に進めましょう」 (手元の台本に目を落とす) 大: 「それでは、まず最初に、『クールなあなたの色々な表情が見たい・にらめっこ対決〜〜!!』」 (わーっと拍手) 大: 「……あ、これは、永遠に終わらないだろうから、却下されたんでした。すいません」 カ: 「当たり前だ。俺は男と見つめ合うなどという趣味はない」 泰: 「(困惑気味に、ぼそりと)『にらめっこ』とはなんだ?」 大: 「ええと、本当の台本は……。ああ、これこれ」 (そこには、米田中将のミミズののたうったような字で、『好きにやれ』と書かれてあった) 大: 「よっ、米田中将〜〜〜〜〜〜っっ!!」 (天をあおぐ大神に、泰明が冷たい視線を向ける) 泰: 「大神とやら。何か用があって、私を呼びつけたのではなかったのか。何もせぬのなら、私は帰るぞ」 カ: 「俺も帰るぞ」 (二人とも出ていこうとする) 大: 「あっ、まっ、待ってください、二人ともっ。え、えー…、では、お二人の趣味なんか聞かせてもらえますか?(…なんか、お見合いの席みたいだな)
まず、カインさんから」カ: 「(怪訝な顔で)……それを聞いて、何か意味があるのか?」 大: 「で、ですから。(小声で)話題作りに協力してくださいよ〜」 カ: 「(ため息をついて)……実験だ。これでいいのか?」 大: 「あっ、はい! えっと、どんな実験なんでしょうか? きっと難しいんでしょうね」 (カインの目がきら〜んと光る) カ: 「何、新しい魔術の開発をしているだけだ。まあ、簡単にはいかんから、失敗も多いがな。有意義だし、とても興味深い。何なら見に来るか? ちょうど助手が欲しかったんだが」 大: 「い、いえ、結構ですっ! …あ、あの、妙に生き生きとしてらっしゃるように見えるんですが……」 カ: 「そうか? 俺は普通だが」 大: 「(これのどこが、アルバレア一の寡黙男なんだ?)」 (その時、泰明が首を傾げた) 泰: 「失敗が多いのでは、役に立たぬではないか」 (カインの眉間に、ぴきっと青筋が立つ) カ: 「なんだと。俺の実験を馬鹿にするのか?」 泰: 「私は疑問に思っただけだが、それが何か悪いのか?」 大: 「(うわっ、まずい感じになってきたぞ)
あ、あの、泰明さんのご趣味はなんですか?」(カイン、ものすごく不機嫌そうな顔でそっぽを向く。泰明、不思議そうな顔で大神を見る) 泰: 「さっきから、妙なことを聞くな、お前は」 大: 「いや、だから……」 泰: 「趣味は特にない。そんなことより、やる事はたくさんある」 大: 「じゃ、じゃあ、最近興味があることなんてないですか?」 泰: 「最近、興味があることか。研究だ」 大: 「……は? また似たようなことを…っじゃなくて、何の研究ですか?」 泰: 「鬼に伝わる秘薬というものを提供してくれた者がいてな。その効能を調べている」 大: 「何に効くんですか?」 泰: 「まあ、色々な病に効くようだ。ただ、鬼の一族に伝わる秘薬というだけあって、まだ分からない事が多い」 カ: 「なんだ、分からんことが多いのでは、役に立たんな」 泰: 「その通りだ」(あっさりと頷く) カ: 「……なるほど。これは確かに二歳児だな」(感心したように) 泰: 「だから、私は子供ではない」 カ: 「(ふっ、と口の端を少し上げる)……そういえば、同僚に薬の研究が好きな奴がいてな。あいつは、草とかきのことかを使っていたが」 泰: 「きのこから薬ができるのか。興味深いな」 カ: 「その鬼の秘薬とやらも、なかなか面白いようだな」 大: 「(どうやら、仲良く話してくれそうだな。最初はどうなることかと思ったけど……)」(ほっと胸をなでおろしている) カ: 「それで、その秘薬は主に何に効くのだ?」 泰: 「これをくれた者の話によると、ある種の病によく効くそうだ」 (そう言って、ふところから薬を取り出す) 泰: 「だが、健康な者に飲ませてみると、また別の効果があるようだ」 カ: 「ほう」(いつの間にか、また目が生き生きと光っている) 泰: 「そこを調べているのだがな。やはり、実際に使ってみないことには、良く分からぬ」 カ: 「確かにな。実験が必要なようだ。……試してみるか?」 泰: 「……そうだな」 (二人の視線が、ある一点に向かう) 大: 「え……? ど、どうなさったんですか?」 泰: 「ちょうどいいな」 カ: 「ああ。軍人だそうだから、しっかりした身体をしているだろうしな」 大: 「だ、だから、お二人とも…、まさか」 (大神、少し後ずさる) 泰: 「まあ、死ぬことはないだろう」 カ: 「そうだ。この実験が役に立つかもしれんのだぞ」 (泰明とカインが、大神の肩をがっちりとつかまえる) 泰:
カ:「さあ、これを飲んでみろ」 大: 「わっ。ちょっと何するんです! あなた達に倫理というものはないんですかあ!!」 泰: 「倫理……”人の道”か。私は人ではないからな」 カ: 「……そうなのか」 大: 「納得しないでください! 米田中将、これも任務なんですかあ!? うわああああああああああ……!!!」 (二人にがっちりと身体をつかまえられたまま、大神下手から退場) 暗転
(合掌)
2001.2.15 up
その後の大神くんの運命やいかに!?(笑)
しかし、カイン対泰明になってますかねえ。なってると信じよう(^^;。